今月も「AB米国成長株投信D」の分配金が入りました。
ただ今回の分配金は、約65%が元本払戻金(特別分配金)によるもので、以前に「特別分配金での分配は良くない!」というのをチラッとネットで見た記憶があり、深く調べもせずに売却してしまいました。
しかし後々しらべてみると、特別分配金での支払いは悪いことばかりではありませんでした。
そこで、無知だった点などまとめたいと思います。
普通分配金と元金払戻金の違い
まず、今回私が大きな誤解?無知?だった「普通分配と元金払戻(特別分配)の違いについて」を分配金実績と一緒に紹介します。
↓↓↓先月の記事

先月の分配金は「普通分配金100%」で、今月の分配金は「約65%が元金払戻金、残りを普通分配金」で分配されました。
これまでの私は、普通分配?元本払戻?何が良くて何が悪いの?という感じで、ほとんど理解できていませんでした。
ただ、わからないなりに違和感も...それは、元金払戻金として支払われた履歴を証券会社の画面を見たときに「税金がかからず得なんじゃないの?」と見えたことです。
そこで、そんな違和感を解決するために2種類の分配金(普通分配、元金払戻)ついて調べると、以下のようなことがわかりました。
普通分配金とは?
分配金が支払われた際、分配落ち後の基準価額が個別元本と同額または上回る場合で、全額が所得税、住民税の対象となる
元金払戻金(特別分配金)とは?
分配金が支払われた際、分配落ち後の基準価額が個別元本を下回る部分に相当する金額を言い、その額は非課税となる
文字の説明だけではわかりにくかったのですがネットで検索していると、普通分配と個別分配のイメージがわきやすい資料がありました↓
三菱UFJ国際投信「普通分配金と特別分配金(元本払戻金)ってなぁに?」
実際に私の先月と今月の分配金をまとめると以下のようになります。
月 | 保有口数 | 個別元本 (円) | 落基準 (円) | 分配金 (円) | 普通分配 受取(円) | 特別分配 受取(円) |
---|---|---|---|---|---|---|
2月 | 20,592口 | 11,655 | 11,827 | 300 | 494 | 0 |
3月 | 21,455口 | 11,649.50 | 11,519 | 200 | 120 | 280 |
2月は「個別元本<基準価格」だったことで全額が普通分配。3月は「個別元本>基準価格」だったため一部が普通分配として支払われ、残りが特別分配にて支払われました。
3月は特別分配での支払いとなったため、個別元本の価格が分配金受取り後に11,649.50円→11,519.13円へと修正されました。
この時点で、無知な私は「個別元本が下がれば分配金が減る!」とか「いずれ分配金がゼロになる!」という思いにより即売却...軽率でした。
2種類の分配金は公平性を考慮
よくよく調べると、2種類の分配金(普通分配、特別分配)は、ファンドに投資する人が公平になるように考えられたもので、毎月分配型の投資信託では当たり前に起こることだとわかりました。
私の勘違いしていたところをまとめます。
個別元本の額は分配金に影響なし
まずは「個別元本が下がれば分配金が減る!」とか「いずれ分配金がゼロになる!」という点です。
結果から言えば、個別元本の価格は分配金にはまったく関係ないということがわかりました。
その理由は、分配金が保有口数により計算されるためです。
では、実際に2月分の分配金を使ってどのように計算されるのかを書いていきます。
月 | 保有口数 | 個別元本 (円) | 落基準 (円) | 分配金 (円) | 普通分配 受取(円) | 特別分配 受取(円) |
---|---|---|---|---|---|---|
2月 | 20,592口 | 11,655 | 11,827 | 300 | 494 | 0 |
①分配金は1万口あたりの金額のため1万口あたりに口数を計算
口数20,592÷10,000=2.0592
②分配金(税引き前)を計算
2.0592×分配金300円=617.76円
③受取額を計算(税金20%をマイナス)
617.76円×80%≒494円
上記のように、個別元本の額は分配金を計算する上でまったく関係がありません。
では、個別元本の額はどこに影響するのか?
税金支払いの平等性
個別元本の額は、分配金を受け取るときの税金に影響します。
ファンドの運用資金は、基準価額より安く買った人、基準価格より高く買った人と様々で、投資を開始した時期も異なります。
そんな資金を1つにまとめて運用するのに分配金は一律...どうしても収益の分配については不公平が生じてしまいます。
そこで、それらの不公平差をなくすために誕生したのが「特別分配金」というものです。
では、一律で分配される分配金の税金について、同じ口数で個別元本の違う3人を例に説明したいと思います。
◆ファンドの基準価格・分配金
- 分配前の基準価格:12,000円
- 分配金:1,000円
- 分配後の基準価格:11,000円 ※分配金をマイナス
◆シミュレーションする3人の想定
- Aさん:分割後の基準価額より安く買った人
- Bさん:分割後の基準価格付近で買った人
- Cさん:分割後の基準価額より高く買った人
※3人とも保有数は10,000口で同じとします
では、それぞれ3人の想定で計算した結果、見ていきたいと思います。
個別元本 (円) | 分配後の 基準価格 (円) | 普通 分配 (円) | 特別 分配 (円) | 分配後の 個別元本 (円) | |
---|---|---|---|---|---|
Aさん | 8,000 | 11,000 | 1,000 | 0 | 8,000 |
Bさん | 11,700 | 11,000 | 300 | 700 | 11,000 |
Cさん | 15,000 | 11,000 | 0 | 1,000 | 14,000 |
Aさんは、個別元本8,000円に対して分配後基準価格が11,000円なので、全額利益(普通分配)となり課税されます。
Bさんは、個別元本11,700円に対して分配後基準価格が11,000円なので、個別元本より下回っている700円に対して元本の払戻(特別分配)となり、その部分は非課税となります。残りの300円に対してのみ利益(普通分配)となり課税されます。
Cさんは、個別元本15,000円に対して分配後基準価格が11,000円なので、個別元本より下回っている1,000円に対して元本の払戻(特別分配)となり、全額非課税となります。
また、Bさん・Cさんについては一部の分配金を元本の払い戻しという形で受け取っていますので、個別元本がそれぞれ「特別分配」の分だけ修正されます。いずれ、Bさん・Cさんも個別元本が下がっていくと「普通分配」での受け取りとなって課税の対象となるでしょう。
↑これが、税金支払いの平等ということらしいです。
もし売らず保有していたら...
もし今回の私が売却せず4月も保有していたらどうなっていたか?を妄想してみました。
シミュレーションの想定としては、分配後の基準価格が今月と同額だった場合です。
月 | 個別元本 (円) | 分配後の 基準価格 (円) | 普通 分配 | 個別 分配 | 分配後の 個別元本 (円) |
---|---|---|---|---|---|
2月 | 11,655 | 11,827 | 100% | – | 11,655 |
3月 | 11,649 | 11,519 | 65% | 35% | 11,519 |
4月想定 | 11,519 | 11,519 | 100% | – | 11,519 |
3月の時点で個別元本の価格が11,519円に下がっているので、4月も分配後の基準価格が同額なら、今度は「普通分配」として全額分配され、税金を支払うことになります。
まとめ
基準価格が毎月毎月下がり続けて半額になるようなことがあれば問題ですが、AB米国成長株投信Dの過去5年の実績を見る限り、基準価格は右肩上がり。
分配金の事も理解できましたので、あらためて買い直したいと思います。
これまでの投資信託への投資、つみたてNISAでの投資は、以下の記事の最後に実体験リンクがまとめてありますのでよかったら。
【まとめ記事】専門家(プロ)が運用する「投資信託」は初心者向き
また、AB米国成長株投信Dの購入から先月までの記事、まとめ記事は以下になります。
ではまた。