我が家では全員がS&P500という米国を代表する株式指数を選んで投資をしていて、直近10年間の年平均リターンは約15%もあるらしいです。
それを元にシミュレーションしてみると、毎月1万円をコツコツ積み立てるだけで、30年後には運用益を含めて約7千万円の資産ができる計算になるんです。
これだけでも十分にすごいです。
でも、私の場合、定年まであと10~15年しかないから、もう少しリスクを取ってでもリターンを狙いたいと思いました。
そこで、新NISAのつみたて投資枠に「FANG+指数」という、ちょっとだけ攻めの投資信託をスパイス的に加えることにしました。
この記事は、投資を長く続けている私がまず試してみて、確認したあとに家族に勧めるとき用にまとめています。FANG+指数ってどんなものなのか、他の指数との比較などについて書いています。
FANG+指数って何?
FANG+(ファングプラス)は、米国の大手テクノロジー企業10社で構成される株式指数です。
「FANG」という名前は、Facebook、Amazon、Netflix、Googleの頭文字を組み合わせた造語で、この4社にApple、Microsoftなどの有名な6社をプラスし、合計10社で構成される指数(インデックス)です。
アメリカの株式市場には約3,000社の企業が上場しているけれど、このFANG+指数を構成する10社の時価総額だけで市場全体の25%以上を占めるほどです。
銘柄入れ替えと比率について
FANG+指数の構成銘柄は定期的に見直されていて、四半期ごと(3月、6月、9月、12月)に各銘柄の比率が均等(10%ずつ)になるように調整されています。
具体的には、四半期の第3金曜日のあとで反映されます。
ただ、必ず四半期ごとではなく、市場の状況によっては例外的なケースもあるみたいです。
2024年11月時点でFANG+を構成する10社は以下です。
- Facebook(フェイスブック)
- Amazon(アマゾン)
- Netflix(ネットフリックス)
- Google(グーグル)
- Apple(アップル)
- Microsoft(マイクロソフト)
- Nvidia(エヌビディア)
- Broadcom(ブロードコム)
- CrowdStrike(クラウドストライク)
- ServiceNow(サービスナウ)
2024年9月の見直しで、新たに「クラウドストライク」と「サービスナウ」が加わり、その一方で「テスラ」と「スノーフレイク」が外れることとなりました。
FANG+を他の主要指数と比較
FANG+指数は米国の主要株式指数である「S&P500」や「NASDAQ100」とよく比較されます。
どの指数も同じようにアメリカの企業を対象としていますが、かなり特徴的です。
※ここからは、2024年12月時点の情報
上位10社の構成銘柄を比較
FANG+指数の構成銘柄は「S&P500」や「NASDAQ100」にも含まれる企業で、上位10社で比較すると多くの企業が共通しています。
コード | 銘柄 | FANG+ | S&P500 | NASDAQ100 |
---|---|---|---|---|
META | Facebook(Meta Platforms) | ○ | ○ | ○ |
AMZN | Amazon | ○ | ○ | ○ |
NFLX | Netflix | ○ | ||
GOOGL | Google(Alphabet)※Class A | ○ | ○ | ○ |
AAPL | Apple | ○ | ○ | ○ |
MSFT | Microsoft | ○ | ○ | ○ |
NVDA | Nvidia | ○ | ○ | ○ |
AVGO | Broadcom | ○ | ○ | ○ |
CRWD | CrowdStrike | ○ | ||
NOW | ServiceNow | ○ | ||
TSLA | Tesla | ○ | ○ | |
GOOG | Google(Alphabet)※Class C | ○ | ○ | |
BRK.B | Berkshire Hathaway ※Class B | ○ | ||
COST | Costco | ○ |
FANG+、S&P500、NASDAQ1000に共通する銘柄は7社あり、特に米国を代表するIT企業が中心となっています。
セクター比率を比較
各指数のセクター比率を比較すると、FANG+がかなり偏りのある指数だとわかります。
セクター | FANG+ | S&P500 | NASDAQ100 |
---|---|---|---|
情報技術 | 60% | 31.3% | 50.3% |
コミュニケーション・サービス | 30% | 8.9% | 15.8% |
一般消費財・サービス | 10% | 10.7% | 13.3% |
金融 | 13.9% | 0.5% | |
ヘルスケア | 10.6% | 6.1% | |
資本財・サービス | 8.6% | 4.4% | |
生活必需品 | 5.7% | 6.1% | |
エネルギー | 3.4% | 0.4% | |
公共事業 | 2.5% | 1.4% | |
不動産 | 2.2% | 0.2% | |
素材 | 2.1% | 1.5% |
FANG+指数は、情報技術(IT)セクターが6割、コミュニケーション・サービスが3割と、セクターの偏りがかなり大きい点が特徴です。
具体的には、情報技術はエヌビディア、クラウドストライク、ブロードコム、サービスナウ、アップル、マイクロソフトの6社、コミュニケーション・サービスはメタ(旧フェイスブック)、グーグル(アルファベット)、ネットフリックスの3社です。
一般消費財・サービスはアマゾンです。
一方で、S&P500やNASDAQ100には金融やヘルスケアなど、より多様なセクターが含まれているため、リスク分散の面で優れています。
こんな風に指数を比べると、それぞれがどんな特徴を持っているかがよくわかります。
約1年の投資結果を比較
上位銘柄の共通点やセクター比率の違いによって、リターンにどれだけ影響が出るのか?
実際に私が投資した結果をもとに比較してみます。
私は、新NISAのつみたて投資枠を利用し、同条件で3つのインデックスファンドに積立設定を行いました。
証券会社のファンド比較ツールで1年経過した結果を確認したところ、分散の少ないファンドほど高いパフォーマンスを示しました。
ただし、積立投資は「いかに安い価格で多くの口数が購入できていたか」が最終的な運用成績に大きく影響します。
以下は、私が実際に約1年間投資を行った結果です。
ファンド | 保有数量 | 基準価額 | 時価評価額 | 評価損益 |
---|---|---|---|---|
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) | 39,067 口 | 32,972 円 | 128,812 円 | +13.61 % |
iFreeNEXT NASDAQ100インデックス | 32,612 口 | 38,293 円 | 124,881 円 | +13.01 % |
iFreeNEXT FANG+インデックス | 20,370 口 | 66,358 円 | 135,171 円 | +22.32 % |
この結果から、FANG+が他の指数を大きく上回るリターンを記録したことがわかります。
とはいえ、これはあくまで1年という短期間の結果です。
今後は、以下の記事で更新をしたいと思いますので、よかったら参考にしてください。
FANG+のリスクと魅力
長期的な視点で見ると、特定のセクターや銘柄に集中しているFANG+はリスクも大きく、5年後、10年後にどのような結果となっているかはわかりません。
しかし、FANG+指数の構成銘柄が少ないことは、一見リスクのように思えますが、同時に大きな魅力でもあります。
リスク的な視点
資産運用の王道である「長期・積立・分散」の観点からみると、FANG+指数の10銘柄という構成は分散が少なく、リスクが高いと言えます。
一般的に、分散数は20~30銘柄が適当な目安と言われています。
ある研究では、30銘柄を超えたあたりから分散効果が薄れてくるとの結果があり、私が以前に読んだ本でも「個人的には25銘柄前後に分散投資するのがいい」と書かれていていました。
それを考えると、FANG+の分散は1/3程度で、かなりリスクのある投資ということです。
具体的に、分散数による影響をまとめた表が以下です。
分散数 | 1社の影響 | 投資信託の例 |
---|---|---|
1 | 100% | |
10 | 10% | iFreeNEXT FANG+インデックス |
20 | 5% | 一歩先いく US テック・トップ20インデックス |
25 | 4% | |
30 | 3.3% | (1311)NF・TOPIX Core 30 ETF |
50 | 2% | |
100 | 1% | iFreeNEXT NASDAQ100インデックス |
500 | 0.2% | eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) |
たとえば、もし1社が倒産した場合、30銘柄に分散されていればその影響は3%に抑えられますが、FANG+だとその影響は10%にもなります。
一方、S&P500のように500社以上に分散されていれば、その影響はわずか0.2%に過ぎません。
このように、分散数が少ないほどリスクが高くなるのが分かります。
魅力的な視点
一方で、分散数の少なさやセクターの偏りは大きなリターンが狙える魅力とも言えます。
FANG+は、エヌビディアやメタ(旧フェイスブック)といった急成長している企業に特化しているため、他のセクター(企業)の低成長に足を引っ張られることがありません。
たとえば、S&P500にような広範な分散を行う指数は、安定性を重視する一方で、急成長株のパフォーマンスが指数全体に大きく影響することはありません。
パフォーマンスが緩やかになる傾向があります。
それに対して、FANG+は構成銘柄がわずか10社と少ないため、1つの銘柄が大きく伸びると指数全体にその影響が反映されやすいのが特徴です。
他の指数では得られないパフォーマンスを期待できるのは、FANG+の大きな魅力です。
FANG+指数への投資方法
FANG+指数のような集中投資は、リスクを取るからこそ高リターンが狙える投資です。
以下では、私の具体的な投資方法を紹介します。
私のFANG+投資
私のFANG+投資は、NISAのつみたて投資枠とレバレッジ用の特定口座の2つです。
どちらも同じ時期に積立で投資を始めて約1年が経ちました。
結果としては、iFreeNEXT FANG+インデックスは22.32%の含み益、iFreeレバレッジ FANG+は36.52%の含み益となっています。
ちなみに、レバナス(※NASDAQ100)の積立投資(ツミレバ)もしているのですが、レバファン(※FANG+のレバレッジ)の結果は、かなり満足しています。
以下は、FANG+の2倍、NASDAQ100の2倍、NASDAQ100の3倍の1年リターン比較です。
どれも、リスクの高いレバレッジ投資なのでお勧めはしませんが、ギャンブル的に楽しむ程度であれば刺激があって私は好きです。
FANG+の上を行く集中投資
さらに最近、FANG+よりもさらに絞って投資ができる投資信託を見つけて投資を開始しています。
愛称「マグニフィセント・セブン」という投資信託で、大型テクノロジー株式7銘柄に集中投資できるのファンドです。
対象の7企業は、Alphabet(Google)、Apple、Meta Platforms(旧Facebook)、Amazon、Microsoft、Tesla、NVIDIAです。
まとめ
FANG+指数は、成長性の高いIT・通信セクターの銘柄に集中投資できる一方、構成銘柄の少なさがリスクでもあります。
- 安定性重視なら:S&P500
- パフォーマンス追及なら:FANG+やマグニフィセント・セブン
どちらを選ぶかは、投資におけるリスク許容度と目標次第だと思っています。
私は、最低限の資産形成には「S&P500」を活用し、それ以外の資金はリスクを取って「FANG+」や「M7」といった集中投資型ファンドに振り分けて投資をしています。
バランスを取りながらも、リターンを狙う楽しさがある投資法だと感じています。
ではまた。