昔というほど前でもないですが、私は十数年、FXで痛い目を見た経験があります。
為替取引って、やり方次第かもしれませんが、一瞬でお金が吹っ飛ぶことがあるんですよね。
あの時の損失は、今ではネタ話となっていますが、当時は本当に落ち込みました。
そんなわけで、為替取引には懲りて、かれこれ十数年の間、意識的に避けてきました。
ところが、ある日、SBI証券の画面をぼーっと眺めていたとき、ふと目に入ってきたのが、外貨建てMMF「トルコリラ」の冗談のような高金利。
正直、「こんなウマい話があるわけない!もし本当に儲かるなら、みんなトルコリラに投資してるでしょ!」と思いました。
でも、それ以上に「本当にこんな高金利で大損するのか?」という好奇心が勝ってしまい、ダメな投資だと分かっていながら、つい遊び心で手を出してしまいました。
今回は、そんな私の「トルコリラ建てMMF」における「お遊び投資体験」です。

この記事では、外貨建てMMF「トルコリラ」の金利40%の高金利で本当に大損をするのか?実際にどのような結果になったのか?最終的に儲かったのか損したのか?などの体験談を紹介しています。
ざっくり、トルコリラMMFとは
トルコリラMMFは、トルコリラ建ての短期国債や債券で運用される外貨建ての投資信託で、利回りの高い商品として知られています。

私が活用しているネット証券「SBI証券」「楽天証券」での2024年4月時点の利回りを見ると、トルコリラMMFの利回りは40%を超えており、他の通貨と比べて圧倒的な高さです。
こんなにも高い金利を見ると、どうしても「本当にこんな高金利で大損するのか?」という疑問が頭をよぎり、実際に一度失敗して体験してみないと分からない!というわけで、トルコリラMMFに投資してみることにしました。
トルコリラMMFに投資してみた
私が初めて外貨建てMMFのトルコリラに投資したのは2024年4月5日。
きっかけは、なんとなくX(Twitter)でポストしたことからです。
損するとわかっていても、たまに遊びで投資したくなることないですか😅今、私の中で馬鹿みたいに利回りの高い #トルコリラ円 がその状態です🥳私はFXはやりませんので、近々 #外貨建てMMF でトルコリラを買いそうです😱#うまい話には裏がある#甘い話には罠がある
— 週末限定主夫@レバナス民 (@weekend_papa) April 3, 2024
最初に買った時の状況
X(Twitter)にポストをした夜、投資熱が急に高まり、いつものように1万円という小額でトルコリラ建てMMFを注文してしまいました。
私が利用しているSBI証券の外貨建てMMF「トルコリラ」の締め切りは10:30なので、4月3日の夜に注文したトルコリラMMFが実際に約定したのは、翌々日の4月5日となりました。
そして、外貨建てMMFに投資する上で避けて通れないのが為替手数料です。
投資開始と同時に、投資金額1万円に対して約400円(4%)の手数料が発生。
主要通貨の米ドルと比べると、トルコリラの手数料はかなり高いです。
始めての金利受け取り
外貨建てMMF「トルコリラ」での投資を始めて約1か月が経ちました。
そして、初の金利受け取りです。
はじめて知ったのですが、4月24日に追加投資していたため、最初に投資した分と後から追加した分とで、分配金の受け取りや再投資が別々になるんですね。
今回の金利が再投資された結果、トルコリラMMFの保有数量は508,591口に増加しました。
そして、直近のトルコリラ円は、トルコの4月消費者信頼感指数と景気期待指数の改善が好材料視され、週初の4.75から週末には4.86まで急伸。
4月末時点の外貨建てMMF「トルコリラ」の運用状況は、以下のようになっています。
- 取得総額:24,998円(※入金額)
- 保有数量:508,591口
- 円評価額:24,463円
- 評価損益:-966円
投資1か月で予想外のリラ上昇
4月26日から始まったGW期間中、大きく変動しました。
特に、ビットコインやドル円の値動きが激しく、ドル円は寝る前に157円台だったのが、朝起きたら153円台まで急落する展開。
このドル円の急落はトルコリラ円にも影響を与え、GW中に「そろそろ買い増ししようかな」と思って29日に買い注文を出していたトルコリラMMFが、下落前の高値で約定してしまうことに。
注文日があと1日遅ければ、もっと安く買えたのに...
結果、私のトルコリラMMFの平均取得為替レートは5.03円まで上昇してしまい、ちょっと残念。
ただ、お遊びで始めたトルコリラの投資、運用益はまだマイナスですが、予想外にトルコリラが上昇しており、チャートもいい感じです。
あと一週間後にやってくる2回目の金利受け取り日には、もしかしたらプラ転するかもしれないという、淡い期待を抱き始めました。
- 取得総額:39,997円
- 保有数量:803,866口(※金利の再投資含む)
- 円評価額:39,228円
- 評価損益:-1,206円
まだ評価損益はマイナスですが、着実に金利によって保有数量が増えています。
リラ安は終わったのか?
5月28日、トルコリラMMF投資を始めて約2か月が経ちました。
正直、大損する覚悟で始めた投資でしたが、最近のトルコリラ円の値動きを見ていると、「もしかしたらプラスになるかも?」という期待感が湧いてきました。
少し前までは、トルコリラ円は4.5円~4.8円のレンジで推移すると予想されていたのですが、最近は5円を超えるかもという場面もあり、「あれ?もしかしてリラ安の流れから変わった?」と感じることもあります。
私は過去にトルコリラで痛い目に遭っているので今回の投資は少額にとどめていましたが、こうなってくると「もう少し買っておけば...」という思いが芽生え始めました。
もしかして、長く続いたリラ安の時代は終わったのかも...なんて、勘違いしそうです。
ただ、リスクの高いトルコリラへの投資は、私にとってナンピン買いが基本戦略。
上昇相場では、なかなか買い増ししづらいのが悩ましいところです。
金利2回目でまさかのプラ転!
トルコリラMMFへの投資を始めて2ヶ月、2回目の金利受け取りがありました。
今回の金利が再投資された結果、トルコリラMMFの保有数量は825,077口となりました。
- 取得総額:39,997円
- 保有数量:825,077口
- 円評価額:40,346円
- 評価損益:+349円
マイナス覚悟で始めたトルコリラ投資でまさかのプラ転、予想外の展開です。
しかも、年率換算利回りも42.318%と、かなり上がっています。
ただ、ちょっと気になることが。
取得総額(実際に入金した金額)で考えるとプラスになっているはずなのに、SBI証券の取引画面ではまだマイナス表示なんです。
どうやら、正しく損益を把握するためには、自分でしっかりと計算する必要があるようです。
投資3か月目もプラ転継続!
6月にトルコリラ円が一時4.73円まで下落したときがありました。
そのタイミングでチャンスだと思い、1万円分のトルコリラMMFを追加購入。
この買い増しにより、私の外貨建てMMFにおけるトルコリラの保有金額が、ついに1万トルコリラを超えました。
投資額が増えたことで、毎月受け取れる金利の再投資額も、じわじわと大きくなっています。
そして、先月からの1か月でトルコリラ円は上昇したので、その結果、投資額5万円に対し評価額は51,980円となり、プラス運用が続いています。
トルコリラMMFの金利も依然として40%という、高金利をキープしています。
- 取得総額:50,000円
- 保有数量:1,048,004口
- 円評価額:51,980円
- 評価損益:+1,980円
調子に乗って追加投資
そろそろ買い増しはやめよう!って思っているのに、また調子に乗って追加購入してしまいました。
7月22日に2万円分のトルコリラMMFが約定したばかりだったのですが、そのわずか2日後の今日(7月24日)にも、さらに3万円分が約定。
なんと、今週だけで5万円も追加投資し、私のトルコリラ投資の総額は10万円となっています。
トルコリラ投資はまだ経験が浅いため、値動きドキドキさせられます。
特に最近の値動きは気になっていて、7月11日には日本の為替介入か?と思われる急な動きがあり、その影響で一時4.76円まで下落しました。
その後も下落が続き、今日(7月24日)時点で4.6775円まで下がっています。
ただ、そんな中でよいニュースもありました。
7月19日に、格付け機関のムーディーズがトルコの格付けを「B3」から「B1」へと2段階も引き上げたのです。
金利も、依然として40%以上をキープしています。
しばらくは様子を見ながら、毎月の金利を受け取りつつ投資を続けるつもりです。
投資4か月半、マイナス拡大!
外貨建てMMF「トルコリラ」の投資を始めて4か月半が経過しました。
冒頭で疑問だった「本当にこんな高金利で大損するのか?」という状況が、現実になってきました。
7月11日の大きな下落以降、トルコリラ円は坂道を転げ落ちるようにダラダラと値を下げています。
普通なら損切りする局面かもしれませんが、今回の私のトルコリラ投資の目的は利益ではなく、トルコリラがどこまで下落し、最終的にどれだけ損をするのかを身をもって体験すること。
そのため、もう少し様子見です。
- 取得総額:100,000円
- 保有数量:2,088,933口
- 円評価額:90,241円
- 評価損益:-9,759円
評価損益は1万円近いマイナスとなり、高金利による再投資の効果もむなしく、為替レートの下落がそれを大きく上回っている状況です。
他の投資がしたくなり売却!
本当は、もう少しこのままトルコリラがどこまで下落するのか、損失がどこまで膨らむのかを見てみたかったのですが、他に買いたい株が出てきたので資金調達のため、4月に始めた外貨建てMMF「トルコリラ」の投資を約5か月で終了することにしました。
- 取得総額:100,000円
- 保有数量:2,144,300口
- 円評価額:85,832円
- 評価損益:-14,168円
結果として、5か月の投資期間で約14%の損失を出す結末となりました。
当初は「ゆっくり下がるだろう」と考えていましたが、7月の急落以降、トルコリラ円は予想を超えるスピードで下がり、3円台に突入する可能性も出てきました。
投資を通じて感じたこと
今回のトルコリラMMF投資は「本当に大損するのか?」という目的で始めた投資でしたが、大損するまで投資の継続ができず、途中で中途半端に終了してしまいました。
大損しなかったことや、一時的にはプラスになったこともあり、タイミング次第では短期的に資産を増やせる可能性があると感じたことで、また手を出してしまいそうです。
しかし、5か月間の投資を通じ、長期的に見ると、個人的な見解では「高金利が通貨価値の下落を上回るのは難しい」という結論に至りました。
外貨建てMMF「トルコリラ」で利益を出すのが難しいと感じた理由は主に以下の3点です。
- 分配金にかかる税金
- 急激な為替変動
- 購入時と売却時の為替レートの差
まず、分配金にかかる税金についてですが、実際に投資期間中に受け取った金利の合計は約4,370円でしたが、ここから約870円が税金として引かれてしまいました。
年率利回り40%でも、税引き後の実質利回りは30%程度まで減ってしまうと、魅力が半減。
次に、急激な為替変動です。
トルコリラの過去のチャートを見てもわかるように、この通貨は非常に不安定です。
投資するタイミングによっては利益を出すことができるもしれませんが、タイミングを見誤ると短期で大きな損失を出す可能性があり、利益を出すのが難しいと感じました。
そして、購入時と売却時の為替レートの差も、利益を上げるのを難しくする大きな要因です。
通貨価値の下落がゆっくりで、高金利状態が続けばプラス投資ができそうですが、大きな下落があると、金利だけでは埋め合わせることができません。
たとえば、1万トルコリラを買ってスグに売るとどうなるか。
1万トルコリラを買うには、1トルコリラあたり4.38円(※買付参考レート)かかり、43,800円の日本円が必要です。
しかし、売る場合のレートは3.92円(※売却参考レート)なので、39,200円しか戻ってきません。
つまり、上記のレートの場合、投資を始めた瞬間から約10%のマイナススタートになるのです。
私のトルコリラMMF投資も、購入時から売却時までの間にトルコリラ円のレートが大きく下落したことが、最終的な損失の大きな要因となりました。
結論として、今回のトルコリラへの投資を通じて、高金利は決して「おいしい話」ではなく、むしろ大きな危険が潜む「まやかし」であると、私は感じました。
しかし、今回の投資、途中で中途半端に終了してしまったことで、再度投資しそうです。
ただ始めるなら、途中で売らずに継続できるほど、資金が増えた頃かな。